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土の家“アースバッグハウス”から見る、次世代に繋ぐ衣食住 ①

2019.10.10

「あたりまえ」はいつまでそこにあるのだろう

現代を生きる私たちにとって、「衣食住」とは何でしょうか。
平成元年生まれの私にとって、衣食住とは、“あたりまえにあって、お金で買えるもの”というイメージのものでした。

「自分の家や服、食べ物が何から出来ているか。」
「誰がどこで作っているのか。」
「私がそれを買うことによって、何が起きるのか。」

そんなことは、社会人になってもほとんど考えたことがありませんでした。

しかし、それは私たちにとって、知らなくても良い話なのでしょうか。

社会がITの進歩やグローバル化によって大きく変わり、
数年先の社会がどうなっているかも分からない現代において、
確実に分かっていることは、私たちは、「衣食住」が無くなったら、生きることができないという事です。

では、私たちの生活から、衣食住が無くなることはないのでしょうか?
少し日本の“衣食住”の状況に関して、お話したいと思います。

例えば、まず“衣”環境に関して。
衣服の国産率は3%(平成30年)です。
綿花、ウールは100%輸入に頼っています。
靴に関しても、多くはゴムが使用されていますが、
天然ゴムは100%輸入に頼っています。

“食”環境はどうでしょうか。

日本の食料自給率は、37%(平成30年度)です。
その37%の99.8%は農薬と化学肥料を使用した慣行農法で作られています。

農薬と化学肥料の自給率は、原材料で言えば、ほぼ100%輸入に頼っています。
農薬と化学肥料が無ければ、生産が保証されない99.8%の農業の上に成り立った私たちの食料自給率は、本当は何%なのでしょうか。

“住”環境として、家を作るには、木材とゴムが必要です。
日本の国土の2/3は森林ですが、木材自給率は36.1%(平成29年度)です。
また、ゴムに関しても既出の通り、天然ゴムは100%輸入です。

これだけ海外に「衣食住」を依存した日本において、
現状の豊かさを持続させる為には、地球規模で考える必要があります。

土と雑草の意味を知る農の体験

土の寿命は、誰の寿命か。

そして、衣食住を作るものとして、
すべてに共通したものは、”土と水”です。
きれいな水は、肥沃な土からできています。
肥沃な土は、数千万、数億年とかけてできたものですが、
直近の20世紀からの100年間で、地球上の土の1/3を消費してしまい、残りは、あと60年で土が消えてしまうかもしれないと言われています。
勿論、土が無ければ、穀物を食べる家畜も飼う(肉を食べる)ことはできません。

人生100年時代と言われる人間の寿命と、
あと60年の地球の寿命。

その土地にある”土と人の力”だけで作ることができるアースバッグハウス(※1)は、私たちに次の時代の“あり方”を示してくれています。

(※1:アースバッグハウスとは、土を詰めた土嚢袋を、家の形状に積み上げていく事で建造する建物のこと。その土地の土を利用して建築でき、耐震性、防火性に優れ、年間を通して安定した室温を保つ特徴を持つ。)

参考資料:http://www.jpmac.or.jp/img/relation/pdf/pdf-p23-24.pdf

次回:土の家“アースバッグハウス”から見る、次世代に繋ぐ衣食住 ②

金子 大輔 氏
株式会社タネノチカラ 代表取締役
兵庫県淡路市野島常盤Seedbed
https://seedbed-project.localinfo.jp/

1989年生まれ。神奈川県藤沢市出身。早稲田大学教育学部卒。大学卒業後、次世代の子ども達が幸せに暮らせるために、持続可能な充実した雇用環境を実現したいと思い、株式会社パソナパソナキャリアカンパニーに人材紹介コンサルタントとして新卒入社。最先端IT技術を扱う企業に特化した紹介事業を行うチームの立ち上げリーダーを経験。知らないうちに身に染みてしまっている都市型の「あたりまえ」を再定義し、「持続可能」で「安心して子どもを育める社会」を作りたいと思い、それらの基盤である「食と健康」をテーマにした事業を立ち上げるため、淡路島に移住。

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