ライフスタイル
ジメジメとした梅雨時に多い、不調とは!?
心と身体を整える暮らし<二十四節気と七十二候>
2020.6.1
私たちの暮らす日本は、春・夏・秋・冬と四季の移り変わりが鮮やかな国。先人たちは、四季の変化を敏感に感じとり、自然に寄り添って生きることで、身も心も健やかに暮らしてきました。“二十四節気”とは、一年を春・夏・秋・冬と分けた各季節を、さらに六つに分け、二十四の期間に名前をつけたもの。“七十二候”は、二十四節気の各節気を、三つの期間に分け、名前をつけたものです。それぞれの季節に合わせた体調管理や、心掛けたいこと、季節折々の行事や楽しみ方などを、“二十四節気”と“七十二候”に沿ってご紹介します。
湿度が高く、身体に水分が溜まりやすい「芒種(ぼうしゅ)」
二十四節気における「芒種」とは、稲や麦など穂の出る植物の種を蒔く、6月上旬から中旬にかけてのこと。この頃から、雨空が多くなっていきます。その末候が「梅子黄(うめのみきばむ)」。梅の実が薄黄色に色づき「梅雨」に入る6月中旬頃を示します。「梅雨」の語源は、この季節に梅の実が熟す頃だからという説や、湿度が高くカビが生えやすい時期で「微雨(ばいう)」と呼ばれていたのが、「梅雨」に変化したという説など、諸説あります。また、「梅雨入り」のことを「栗花落(ついり)」と書くことがあるのをご存じでしょうか? シトシトと雨が降り続けるこの時期に、栗の花が咲き散ることから、この字を充てたと言われています。
リンパの流れを促して、余計な水分や老廃物をデトックス!
東洋医学の考えでは、この時期は「湿」の影響を受け、体内の気の巡りが停滞しやすい時。風邪や咳、頭痛や身体のだるさ、イライラや落ち込みなど、心身ともにさまざまな不調を起こしやすくなります。また、湿度が高く、皮膚から水分蒸発がしにくくなるため、体内に余計な水分が溜まり、むくみやすい身体になってしまいます。梅雨時期の対策として効果的なのが、リンパ液の流れを促し、余計な水分や老廃物をデトックスすること。適度な運動で汗をかいたり、セルフマッサージなどで身体の巡りを整えるなど、余計な水分を排出させることが大切です。憂鬱になりがちな梅雨時ですが、心身ともにリフレッシュさせて、ジメジメとした季節を乗り切りましょう!
日本古来より受け継がれる「御田植祭(おたうえまつり)」
毎年、田植えの時期になると、全国各地の寺や神社で、田の神様に豊作を祈るお祭り「御田植祭(おたうえまつり)」が行われます。特に、大阪の「御田植神事(おたうえしんじ)」、志摩の「磯部の御神田(いそべのおみた)」、千葉の「香取神社御田植祭(かとりじんぐうおたうえさい)」は、日本三大御田植祭として有名です。それぞれのお祭りに特徴があり、毎年6月に大阪の住吉大社で行われる「御田植神事」は、神功皇后が御田を作らせたのが始まりと伝えられています。古くから伝承されてきた神聖な行事で、神楽女による八乙女の田舞いなどの踊りや舞が奉じられ、国の重要無形民俗文化財に指定されています。
同じく6月に伊勢神宮の別宮である「伊雑宮(いざわのみや)」の領田で行われるのが「磯部の御神田」。大勢の男衆が、領田の中で泥だらけになりながら、扇のついた竹を奪い合う「竹取神事(たけとりしんじ)」は見ものです。こちらも国指定重要無形民俗文化財で、平安時代末期には、すでに現在の形で神事が行われていたと言われています。香取神宮の御田植祭は、毎年4月に行われます。田舞や植始め行事が奉じられ、室町時代の明徳年間には、すでに行われていたという資料が残る、春の風物詩。「田植え唄」を歌いながらの田植えなど、古き良き日本の風景が浮かぶ祭礼です。