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瞑想入門 ―幸せは自分の内側に―

ヨガの可能性、ヨガのチカラ

2020.3.20

最近、瞑想に興味をもつ人が増えてきたと言われています。Google社を筆頭にグローバル企業が従業員向けに研修プログラムとして瞑想を活用したり、医療の現場でも治療の一環として瞑想が取り入れられているところもあります。そんな瞑想の効果や方法が気になるという方も多いと思いのではないでしょうか。今日は瞑想入門として、瞑想に取り組むにあたり知っておくべきことを解説していきたいと思います。

生命体が現れたときから瞑想はあった?

瞑想の発祥は「インド」であると言われています。その事実を裏付けるように、5000年前に繁栄したインダス文明の都市遺跡「モヘンジョダロ遺跡」からは、人が地面に足を組んで座っている、瞑想姿の印章が出土しています。すでにこの頃、人々は座って「瞑想」をしていたのではないかと考えられています。ひょっとすると、インダス文明より以前、この地球上に生命体が現れた時から、瞑想はあったのかもしれません。ただ、「瞑想」という言葉が当時からあったとは、到底考えられません。近現代の私たちが「瞑想」という言葉に当てはめて、古代の人々の生活を顧みる時、それらしき生活行動があったようだ、というところでしょう。

瞑想と祈りのもたらすもの

それでは、古代の人々は生活に根差したこのような行動を、一体何のためにやっていたのか。それは、歴史書物を頼りに分析する限り、「祈り」が始まりであったことが推察できます。私たちの行為には、“目に見えるもの”と“目に見えないもの”があります。そして、その結果にも、“目に見えるもの”と“目に見えないもの”があります。

目に見える行為とは、何かを為すため物理的に身体を動かして行う行動のこと。例えば、行きたい学校を受験する場合、一所懸命に勉強する→願書を書いて出願する→体調を整える→試験を受ける。自分の努力でできることはする。一方で目に見えない行為とは、願書がきちんと届く、試験直前に突発的な病に罹らない、怪我をしない、試験日に天災等が起こらない、自分を取り巻く環境が安寧である等々、自分の努力だけではどうにもならないことを願うことを言います。古代の人々は、狩猟に際し「獲れる日もあれば、獲れない日もある」ことを知っていました。農作物の出来も、雨量や日照による部分が大きく「自分の努力だけで豊作になるとは限らない」ことを知っていました。自分自身の努力の外側にあることを願う時に「祈り」を活用していたのです。

行為の結果についても、“目に見えるもの”と“目には見えないもの”があります。行為に対する結果とは、「努力したから合格した」というような直接的な関係もありますし、その後すぐに目に見えて何かが変わるという結果に繋がらない場合もあります。また、電車の中で体調を崩した時、にたまたま同じ電車に乗り合わせていたお医者さんに命を救われた、というような、一見自分の行為とは直接的な関係のない結果を得ることもあります。このような時、現代に生きる私たちは「運が良かった」という言い方をします。古代の人々であれば、「祈りの甲斐があった」と言うところかもしれません。ここに、祈りの理論が凝縮されているのです。たとえ他者からは見えないものであっても、人が胸に想った「そのこと」は必ず宇宙の波動に影響を与えます。

このように「祈る」という行為は、古代から脈々と私たち人間の生活に根付いてきたものです。現代の私たちは、目に見えない行為を疎かにしがちですが、目に見えない行為である「祈り」こそ、その人の在り方やビジョンを示す意味のある行為なのです。ですから、心の中で想うことは、ポジティブな内容、ポジティブな音であるように心する必要があります。

自分自身と向き合うことで動じなくなる

「瞑想」という言葉で現代の私たちに馴染みのある行為が「祈り」に原点を持つものと知ると、その方法は様々あれど、どこに向かって瞑想するのか、つまり何を祈るかが明確となります。誰の目も気にすることなく、自由な発想で「祈り」を実践しようとする時、自分が本当に欲しているものは何か、人生の中で大切なものは何か、優先順位が明確になっていきます。祈りとは「自分自身と向き合うこと」、すなわち瞑想なのです。

瞑想は、
・思考の整理整頓のプロセスとなり、
・自分にとってどうでもよい、つまらないことに動じなくなる
・心の迷いが消えていつでもくつろいでいられる
ことを助けます。
様々な情報が行き交うノイズの多い現代社会で、自分自身と向き合う時間は、誰にとっても必要です。その時間を持てるか持てないかで、その人の人生の質は明らかに変わってきます。

最近では「マインドフルネス」や「瞑想」という言葉が独り歩きし、そのテクニックや目先の効果・効能ばかりに関心が集まっていますが、この根本的な理論を理解していれば、具体的な瞑想方法は、個々に適した方法を選べばよいのです。大切なのは、瞑想がポジティブな祈りに源泉をもつということを理解することです。

次号以降では、瞑想ビギナー向け、アスリート向け、ビジネスマン向けなど、あなたに合った瞑想方法をご紹介していきたいと思います。

山内 やよい 氏
早稲田大学人間科学部スポーツ科学科(精神生理学専攻)卒業。2000年アメリカでヨガに出会う。自身の経験から、2006年に当時まだ少なかった子連れヨガクラスを立ち上げる。月間200名を超える生徒と関わりながら、講演、啓蒙活動を行う。その後、都内フィットネスクラブ運営に関わる中、”健康弱者への運動支援” およびヨガの可能性への意識が高まる。大学院進学後の2012年、カナダカルガリー大学へ留学。海外におけるヨガの効果検証研究を参考に、日本国内初の乳がんサバイバーを対象としたヨガの臨床試験を行う。博士学位取得後、大学の正規科目としてヨガを伝えながら、スポーツ科学の知見に基づいたオリジナルのメソッドを開発、対象者に合わせたプログラムを展開している。身体に対してはもちろん、心への効果についてさらなるヨガの可能性を研究するため、毎年渡印し研鑽を続けている。
博士(スポーツ科学)
早稲田大学クローバルエデュケーションセンター/ 杏林大学保健学部講師

・乳がんサバイバー向けヨガプログラム
・前立腺がんサバイバー向けヨガプログラム
・オリンピック代表アスリートのコンディショニングプログラム
・高齢者介護予防講習
・企業向けウェルネス講習(三鷹市、港区、世田谷区)
・都内病院医療者向けストレス対処ヨガプログラム
・大学アスリート向けリカバリーヨガプログラム
・Jリーグトップチームリカバリーヨガプログラム etc.
              
健康運動指導士 / 介護予防運動指導員
国際総合生活ヨガ(沖ヨガ)指導員
RYT200

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