メンタルケア
メンタルが強い人になる、身体からのアプローチ!
メンタルカウンセラーに聞いた! こんな気持ち、分かりますか?
2019.10.9
年齢を問わず、多くのストレスを抱えている現代人。職場や家庭、友人やご近所付き合いなど、人間関係においても多くの悩みを抱えています。そこで、未病サイト編集部スタッフが、トラウマケア「こころのえ相談室」を開業されているメンタルカウンセラーの井上陽平先生に、日々の暮らしの中で気になるアノコト、コノコトについて伺います!
Q:メンタルが強いとか弱いとか、どういう事ですか?
A:「メンタルが強い、弱い」って、一般的には、精神的なものや、心や知性にまつわることとして、よく使われていますよね。しかし、このように、人間の「心をめぐる脳の活動」に限定するのは、正しく理解したことにはならないのです。
「メンタルが強い、弱い」という場合、心と身体の両方が関連しています。人生において 逆境などに直面した時に、乗り越えていく「力」のようなものとして捉えると良いと思います。心の働きだけではなく、心と身体と、それによってつくられた性質なども関係します。
Q:メンタルが強い人、弱い人には、どんな特徴がありますか?
A: 例えば、メンタルが強い人は、変化に動じることなく、ゆっくりのんびりと構えて、窮地に陥っても冷静に考えて、 踏み止まることができる、というイメージがあるでしょう。
一方、メンタルが弱い人は、窮地に陥ると、蛇に睨まれた蛙のように固まってしまいます。
実際に、身体が固まると、思考もフリーズして、パニックになったり、自分の怒りや衝動性をコントロールすることが出来なくなり、人間らしさを失ってしまいます。
メンタルの強い人は、心と身体の繋がりがスムーズで、自分でコントロールして手足を使っている感覚があります。メンタルが弱いと思われる人は、自分でコントロールしている感覚がなく、自分の身体が自分のものになっていない場合が多いです。
Q:強いメンタルになれる方法はありますか?
A: そうですね、いくつか考えられますが、今回は、ご自分でもできる身体からアプローチする方法をお伝えします。心と身体を関連づけて、自分のものにすることで、メンタルを強く鍛える方法をみていきましょう。
① まず、基本的には瞑想や座禅を組むなどして、自分の過去の思い出したくないような出来事を意識的に思い浮かべます。
② その時、自分の身体がどう変わっていくのかを見ていきます。おそらく、次第に身体が硬直して、眉間にシワがより、奥歯を嚙んで、顎を下げて、自分の心(ハート)を守りたいと、身体が反応し、肩が内に入ってきます。また、息がしづらくなったり、手足が動かしづらくなったり、集中力が切れたりすることもあるでしょう。
③ 充分に身体と心が反応をしていると感じたら、それらの嫌な出来事を解決していくイメージをしていきます。スーパーマンになったような解決策でも構いません。その時、落ち着いて対処して周囲に感謝されたなど、自分の有能感や安心した気持ちを作っていくことで、硬直した身体を緩めていきます。
④ それらを繰り返します。定期的に繰り返すことで、その時に分断されてしまった心身の繋がりを取り戻すことができます。それによって、“乗り越える力”=“メンタル”は強くなっていきます。
※発達障害や精神疾患を患っている場合は、体調が悪化する可能性もあるので、専門家のもとで鍛える必要があります。
Q.身体を意識することで、メンタルも鍛えられるということですね?
A: はい、そうです。よく言われますが、心と身体はつながっているのですよ。
メンタルの強い人が、身体を壊して鬱になったり、最近ではウェイトトレーニングをすると前向きな性格になるという話も聞かれますよね。メンタルを鍛える場合には、身体と心は繋がっていることを意識して、両方の状態を良い方向に持って行く必要があります。
なぜ、身体に働きかけることで、心の状態を良い方に持って行くアプローチをとっているのかというと、心というのは抽象的で実態がなく、捉えどころがなく、さまざまなアプローチ(精神分析や認知行動療法など)がありすぎます。
一方、身体には実態があり、身体に働きかけたことに対して、身体反応が目に見えやすく、コツや理論を掴めば自己調整しやすいのです。例えば、鬱病の人は、人生が八方塞がりで逃げ場所がなく、ガチガチに固まっているから鬱になるといえるのですが、その身体の固まりを緩めていくと、鬱症状が軽減されるという臨床もあるのですよ。
次回は、ストレスに強くなる方法についてお伺いします。
https://www.kokoro-ashiya.com/
社会人経験を経て、トラウマ臨床に興味を持つ。心理系大学院にて、トラウマを受けた心の世界について研究を行う。心と身体 の健康を高めるカウンセリング活動を行っている。主な技法は、 精神分析的アプローチと身体的アプローチとの融合。