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メンタルケア

匂いは気分に働く ~気分で行動・結果がかわる~

2020.4.3

気分を自覚する。「いま、どんな気分か自覚している?」

思わず鼻歌が出るような日もあれば、行き交う人にイライラする日もある。気分は一様ではなく、変化します。しかし、いまこの瞬間の気分が多様であることに気づいている人は少ないかもしれません。カウンセリングで「あなたには、様々な気分があります。今のあなたはどんな気分でしょうか?」と問うと、戸惑いを見せる方も少なくありません。

気分]が、「思考」や「行動」をつくっている!

心理学でも気分(感情)、思考(認知)、行動、身体感覚は、相互に関わり合うことが知られています。何を知覚し、どう考え、どのような行動を選択するかについて、気分は密接に関わっています。気分が落ち込んでいる時を思い出してください。背筋を伸ばし、胸を張り、大股で歩くという姿ではなく、背を丸め、うつむき、重い足取りでトボトボと歩く姿が浮かびませんか? このような姿勢では、得られる情報も限定されるでしょう。また、新たな発想や、前向きな思考は生まれにくいことも想像されます。

匂いは「気分」にダイレクトに働く

落ち込みやイライラなど、自覚できる大きな気分の変化があれば、自分の気持ちを奮い立たせようと、行動や振る舞いに気を配ります。背筋を伸ばし、声を出して笑い、元気になる音楽を聴いたりする人もいるかもしれません。しかし、特別な出来事のない日常にも、気分は多様に変化しています。目を閉じ、心に耳を澄ませることを習慣にすると、「わずかな」心の波立ちの様子や気分の重さに違いがあることに気づきます。この「わずかな気分」を調整することは、演奏前に楽器を調律することに似ています。スムーズに仕事に取り組み、周囲と協調し、最大のパフォーマンスを発揮する上で、気分を微調整する習慣を取り入れてみませんか。

香りで「気分」の微調整を図る

嗅覚は何の匂いかの判断を介さず、瞬時に気分に働きかけます。これは、視覚や聴覚とは異なる知覚経路を持つ、嗅覚の特徴です。今、なりたい気分は、どんな匂いがもたらしてくれるでしょう。それは、日や時間、瞬間によっても異なるかもしれません。まずは、あなたがこの瞬間に、心地良いと思う香りを丁寧に感じてみませんか。良い香りは、良い気分を導きます。それは、淹れたての一杯のコーヒーや、夕飯のワインの香りかもしれません。入浴後に手にしたハンドクリームの香りでも良いのです。瞼を閉じ、深く香りを味わい、香りを身体の隅々に送り届けることをイメージします。3呼吸。再び瞼を開けた時、目に入ってくる世界に彩りが増すことに気づくでしょうか。

松尾 祥子氏
公認心理師 臨床心理士 赤坂溜池クリニック心理士 SAFARI代表

1999年よりアロマセラピー、アーユルヴェーダなどの自然療法とアメリカ西海岸の統合的心理療法をベースに、「香り×心理×サスティナブルなコミュニティ」をキーワードに活動する。現在は、個人カウンセリング・グループセラピーや研修に加え、持続可能な社会の研究やEAPにも従事する。生活に欠かせないものは波乗りと山歩きと秋のキノコ。
地球と宇宙とココロのおはなし。http://www.aroma-safari.com

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