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メンタルケア

モヤモヤと共にいる力 -あいまい耐性について考える-

2023.8.30

こちらの記事はLIFE IS LONG JOURNAL様より許可を得て転載しております。
https://life-is-long.com/article/5854


人生の中で起こるいろんな出来事の中で、モヤモヤすることがあります。
置かれている状況や、誰かに対して「なんで?」と頭にはてながたくさん浮かぶこともありますし、自分の気持ちの整理がつかなくてモヤモヤすることもあります。
これからどうしたらいいのかがなかなか見えずにモヤモヤし続けることもあります。
皆さんは、そんなとき、どうしていますか?
わたしの場合は、モヤモヤしているのは、なんとも居心地が悪いし、「早くスッキリしたい!」というのが本音です。
ただ一方で、「モヤモヤにとどまる力」、「モヤモヤと共に居続ける力」というのが、とても大事なのかなとも思っています。

このモヤモヤにとどまる力は、心理学では、「あいまい(曖昧)耐性」と呼ばれて、研究がされています。
曖昧さへの耐性が低い人は、高い人よりも、日常的なストレスを脅威的に感じること、衝動的な行動をとりやすいことが示されています。
曖昧さにとどまっていることが難しく、そのストレスから一刻も早く抜け出すために、白か黒かの極端な解決方法を図って、かえってよくない結果を招いて、さらに強いストレスを感じてしまうこともわかってきています。

20年前に比べて、インターネットが普及して、答えを見つけやすい時代になりました。

仕事で困ったとき、生活の中で迷ったとき、ググれば、そこにはいろんな答え・ヒントがあります。
以前は、わからないことにぶつかったとき、本を読んだり、人に聞いたりしてみても、結局、なんだかよくわからない、なんてこともたくさんありました。
最近話題の対話型AI(人工知能)である「ChatGPT」に経営の相談をしている、なんていう友人も出てきています。
実際に、すでにデータの蓄積があること、知識などについては、的確に答えてくれるので、答えを知ることが、これからますます簡単になっていくのだと思います。
 
ただ、「こころ」のことは、すぐにはわからない・答えを出せないものです。
自分の気持ちや、相手がどう考えているのか・感じているのかはググってみても、そこに答えはありません(ヒントは得られることもありますが)。
白黒をかんたんにつけることもできません。
モヤモヤを抱え続けて、そのわからなさにとどまり続けて、そうして経験を重ねた先に、ふっと「わかる」「腑に落ちる」瞬間が訪れて、世界を新しい目で見られるようになる。
そうして得られた気づきこそ、またその先の人生の助けになってくれるのかな、と思います。
 
モヤモヤしたときに、すぐに答えを出そうとせず、白黒つけておしまいにせず、とどまり続けてみませんか。
常に向き合うことがしんどければ、脇に置いておいてもよいのです。
ただ、ときどき取り出して眺めたり、モヤモヤしてみる。
それが私たちが、答えのない人生を生きていくために、必要なことなのかもしれません。

 

 

【参考文献】

友野隆盛(2010).対人場面におけるあいまいさへの非寛容と特性的対人ストレスコーピングおよび精神的健康の関連性.社会心理学研究, 25, 221-226.

関屋 裕希(せきや ゆき)
博士(心理学),臨床心理士,公認心理師

1985年福岡県生まれ。早稲田大学第一文学部を卒業後、筑波大学大学院人間総合科学研究科にて博士課程を修了。東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野に就職し、研究員として、労働者から小さい子をもつ母親、ベトナムの看護師まで、幅広い対象に合わせて、ストレスマネジメントプログラムの開発と効果検討研究に携わる。 現在は「デザイン×心理学」など、心理学の可能性を模索中。ここ数年の取組みの中心は、「ネガティブ感情を味方につける」、これから数年は「自分や他者を責める以外の方法でモチベートする」に取り組みたいと考えている。 中小企業から大手企業、自治体、学会でのシンポジウムなど、これまでの講演・研修、コンサルティングの実績は、10,000名以上。著書に『感情の問題地図』(技術評論社)など。

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