ライフスタイル
秋に向けて、乾燥しない身体をつくる!
心と身体を整える暮らし<二十四節気と七十二候>
2020.8.1
私たちの暮らす日本は、春・夏・秋・冬と四季の移り変わりが鮮やかな国。先人たちは、四季の変化を敏感に感じとり、自然に寄り添って生きることで、身も心も健やかに暮らしてきました。“二十四節気”とは、一年を春・夏・秋・冬と分けた各季節を、さらに六つに分け、二十四の期間に名前をつけたもの。“七十二候”は、二十四節気の各節気を、三つの期間に分け、名前をつけたものです。それぞれの季節に合わせた体調管理や、心掛けたいこと、季節折々の行事や楽しみ方などを、“二十四節気”と“七十二候”に沿ってご紹介します。
秋の気配を感じ始める時期「涼風至(すずかぜいたる)」
二十四節気における「立秋」とは、8月上旬から中旬過ぎにかけて。まだまだ暑い盛りですが、秋の気配を少しずつ感じるようになる時期です。これまで外向きに動いていた体内の気の流れも、内向きに変化し始めます。その初候が「涼風至(すずかぜいたる)」。熱気をおびた夏の暑い風の中から、秋の涼しい風に変わり始める頃。この季節は、紫外線ダメージや発汗による水分蒸発により、身体が乾燥しやすい状態です。冷たい食事や飲み物、冷房などの影響で血流が悪くなり、免疫力も低下していることが多いので、夏の疲れに注意が必要です。
上手に“気”を入れ替えて、夏から秋の身体へ
東洋医学の考えでは、秋は万物が実を結ぶ時。全てのものが成熟し、収穫の季節を迎える時期です。私たちの身体も、夏の間に旺盛だった「陽気」と入れ替わり、「陰気」が多くなっていきます。夏から秋への「気」の入れ替えを意識することが大切。また、秋に向かって空気が乾燥しやすくなるため、身体の潤いが不足しがちになります。身体の内と外側から、潤いを補給するように心掛けましょう。夏の終わりは、強い日差しやストレスなどの影響で、赤血球が減少し、貧血ぎみになってしまう可能性も…。貧血予防のためにも、鉄分を多く含む食材や、肉、魚、卵、大豆、乳製品などに多く含まれるタンパク質、鉄の吸収率を高めるビタミンCなどを積極的に取り入れ、バランス良い食事を心掛けましよう。
美しさを鑑賞して楽しむ「秋の七草」
毎年、1月7日に七草粥として食べる「春の七草」は有名ですが、秋にも七草があるのをご存じですか? 「秋の七草」は、萩(はぎ)、すすき、葛(くず)、なでしこ、おみなえし、藤袴(ふじばかま)、桔梗(ききょう)の7種。「春の七草」が、粥にして無病息災を願うのに対し、「秋の七草」は、食べるのではなく美しさを鑑賞して楽しむもの。そのため、秋の七草粥は存在しません。「秋の七草」は、一度に咲くのではなく、秋の深まりとともに、順番に花開いていきます。秋の草花が咲き乱れる野原を散策し、多くの短歌や俳句が古くから詠まれてきました。山上憶良(やまのうえのおくら)も、万葉集で秋の七草を歌っています。
秋の野に咲きたる花を指折り
かき数ふれば七草の花
山上億良