会員数250万人のメンタルヘルスケア専門企業が運営する「未病ケアラボ」

メンテナンス

睡眠と個性〜インド伝承医学の視点

2019.10.3

睡眠と健康

良い睡眠は、健康維持と生活の質の向上のために非常に重要だという認識が高まっていす。インド伝承医学アーユルヴェーダにも、睡眠についての詳しい記述があります。睡眠は、人間が健康に生きるために必要な3本柱の一つと定義します。

①食事
②睡眠
③性生活

この3本柱は、ただ満たせば良いという事ではありません。アーユルヴェーダでは、食事、睡眠、性生活をどのように叶え、質を高めていくのか、その方法を示しています。

インド伝承医学からみる睡眠と人体の関係

1~2世紀頃に完成したとされるアーユルヴェーダ文献「チャラカサンヒター」によると、睡眠によってもたらされるものとして、以下の5つが挙げられています。

①人生を幸福にする
②身体機能の維持をする
③心身の強化をする
④脳と心のパワーアップをする
⑤寿命をのばす

睡眠は、ただの疲労回復ではなく、免疫力や自然治癒力を高めて生命力を強化し、心の健康維持にも役立ち、個人の生活の質を向上させていくのだとしています。そして、この睡眠が妨げられる原因については、心と身体の動的エネルギーが常時過剰な状態になっている事だとしています。現代的にいうのであれば、交感神経優位の状態が継続してしまっているという事です。

これをアーユルヴェーダでは、風や火という動的エネルギーの過剰、そして精神的はラジャスという激質が増えていると考えます。「考えすぎ」「不安」「悲しみ」「興奮」「緊張」と言った心の状態や、「運動しすぎ」「強い空腹感」「乾燥性」という身体の状態と関係しています。

個性を見極め、一人ひとりに最適な睡眠習慣をつくる

アーユルヴェーダでは、生まれつきの個性や、生活や食事の習慣、また環境が睡眠の傾向に影響を与えていると考える為、個性に合わせた睡眠習慣づくりをすすめています。熟睡ができなかったり、良質の睡眠が取れていないような体調や体質の人は、身体や心の動的エネルギーの質を鎮める習慣を取り入れると良いということ。動的エネルギーの質を鎮める=安定のエネルギーの質を取り入れると考えます。

具体的には、適度な脂肪分や油分を含むものを生活に取り入れ、心の安定につながるようなリラクセーションを行う事です。就寝前のホットミルクや、足裏へのオイルマッサージ、アロマセラピーや瞑想などが有効です。身体が冷えやすい人は、全身の循環をよくする入浴や全身マッサージなども有効です。ご自身の体調に合わせ、心身のエネルギーのバランスを取ることで最良の睡眠を導きます。

田島 恭子氏 
インド政府機関認定パンチャカルマセラピスト
アーユルライフコーチ
https://www.ayurveda-taj.com

北里大学看護学部看護学科3年で中退後、渡米。 モデル、クラブDJ、約15年に渡り音楽業界。絶好調だった時に突然襲われた、鬱、パニック、胃潰瘍。アーユルヴェーダと運命的に出会い、古代から伝わるホリステックな自然医学に壮大な愛を見出す。2007年、インド政府機関BSS認定パンチャカルマセラピストディプロマを最高成績Distinctionにて取得。アーユルヴェーダセラピー施術数は延べ約1,200名。
2009年にトラディショナルアーユルヴェーダジャパン設立、各種講座受講者数は延べ1,500名を超える。
2013年、「女性機能を高めるアーユルヴェーダ式家庭料理」を発刊。
1年に1〜2回は自ら渡印(10回以上の渡印歴)幅広くアーユルヴェーダの学びを継続し続けている。現代ならではの問題解決に貢献する新時代のアーユルヴェーダを提唱、人材育成に力を入れている。

原稿執筆、記事監修履歴:
Yoga Journal、Yogini、Figaro Japon、In red、Fadge、翼の王国ほか
企業内研修、商品開発アドバイス、外部セミナー:多数

田島 恭子さんの記事一覧

  • f
  • LINE