メンテナンス
真夏の熱中症対策、塩分補給は慎重に!
2023.8.10
身体と塩分の関係
水分補給と共に、熱中症対策に欠かせないと言われる塩分補給。そもそも、どうして私たちの身体に塩分が必要なのかご存じでしょうか? 塩は、体内で塩化物イオンとナトリウムイオンの状態で存在し、身体の中で重要な働きをしているからです。
例えば、体内の塩化物イオンは胃酸のもととなり、食べ物を消化したり殺菌したりする役割があります。ナトリウムイオンは、食べ物から得た栄養を吸収するのに必要です。その他にも、体内の塩は細胞を保つ役割や刺激の伝達などを行う働きもあります。
体内の塩分量は、大人の場合は体重の0.3~0.4%、子供の場合は約0.2%と言われています。体重60㎏の成人の場合、体内の塩分量は約200g程度ということになります。体内の塩分量は、肝臓の働きによって一定に保たれていますが、下痢や激しい発汗などにより、急激に体内の塩分が失われると、脱水症状や倦怠感、脱力感などの症状が現れてしまいます。
熱中症対策のために必要な塩分量は?
私たちの体内には、約0.9%の食塩水と同じ浸透圧の血液が循環しています。汗をかいた時、肌が塩辛い味がするのは、汗にナトリウムが含まれているからです。大量の汗をかいてナトリウムが失われた際、水分だけを補給すると血液中のナトリウム濃度が薄まり、これ以上ナトリウム濃度を下げないために、身体が水分を受け入れなくなってしまいます。
環境省の資料によると、夏場など大量の汗をかく場合は水分だけでなく、スポーツ飲料など塩分濃度0.1~0.2%程度の水分摂取が薦められています。スポーツ飲料や経口補水液などを利用するのが手軽ですが、備えがなかった際には自分で調整することもできます。1ℓの水に、食塩2g(ティースプーン約半分)と好みに応じて角砂糖を数個溶かして作れます。
健康のためには減塩生活がおすすめ!
熱中症対策に塩分は欠かせませんが、私たち日本人は食事で食塩を必要以上に取っているため、過剰な摂取は要注意です。塩分を必要以上にとり続けてしまうと、高血圧や肝臓の病気などになるリスクが高まります。下記が代表的な食品や飲料に含まれる食塩量です。
味噌汁:一杯あたり約1.5g
梅干し(塩漬):一粒当たり約1~2g
食パン:一枚あたり約1g
カップラーメン:一杯あたり約5g
スポーツ飲料:500㎖あたり約0.5g
経口補水液:500㎖あたり約1.5g
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、1日当たりの食塩相当量の摂取目標を15歳以上の男性で7.5g未満、15歳以上の女性で6.5g未満としています。WHO世界保健機関の食事摂取基準では、さらに少なく成人一日あたり5g未満とされています。
熱中症対策に塩分が必須というのが定着し、スーパーなどでも塩分入りのタブレットやビスケット、塩飴などを多く見かけるようになりましたが、塩分の摂り過ぎに注意しながら、上手に活用するようにしましょう。
【参考URL】
<厚生労働省>
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/nettyuu_taisaku/index.html
<厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)>
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586565.pdf?_ga=2.114320708.232811488.1689243021-973930081.1689243021
<日本高血圧学会>
https://www.jpnsh.jp/general_salt_01.html
<環境省>
https://www.wbgt.env.go.jp/pdf/envman/3-1.pdf
<新百合ヶ丘総合病院>
https://www.shinyuri-hospital.com/column/eiyou/magazine_no65.html
<大塚製薬 株式会社>
https://www.otsuka.co.jp/health-and-illness/heat-disorders/