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唾液のチカラで免疫力をあげる!

心身共に健康で、常に愉快でたまらないマクロビオティックな生き方

2020.4.14

よく噛んで食べるのが、良いのはなぜ?

「食べ物は、液体になるまで噛んでから飲み込むこと。飲み物は良く噛むこと」とは、ガンジーが遺した言葉です。噛むことによって出てくる唾液のことを、仙道(※1)では「神液」と言うそうです。マクロビオティックでは、上顎(陰)と下顎(陽)を使う、噛むという行為は、陰陽の調和を行っているとみます。噛むことによって脳や全身に振動がいくので、噛むことは、ポンプのような働きとなり、脳や末端まで血液を送り届けるので、血液循環が良くなり、冷えの改善、認知症の予防にも繋がると言われています。

口内の健康度は、全身の健康度であり、口内がいかに活性化しているかが大事。そのため、唾液の量や質で健康度合いを測ったり、唾液から癌を発見する研究もされています。私たちの身体は、死に近づくと、目、口、肌、膣等全てから潤いがなくなっていき、ドライアイ、ドライマウスと言われる症状が起き、唾液も出なくなって、舌は石のように固くなります。

唾液と噛むことの可能性

唾液には分かっているだけでも、20種類以上の酵素と12種類以上のホルモンがあると言われています。分かっている酵素のひとつに、解毒殺菌効果のあるペルオキシダーゼがあります。自然界の動物は、怪我をすると自分で舐めていますが、昔は怪我をすると「唾つけときゃ治るよ」と言われたりしました。また、どんな発癌物質も30秒唾液の中に漬けておけば無害化されると発信している歯科医師たちもいます。

唾液の中にはパロチンという、血管についた油を取り除き、代謝をよくするホルモンもあります。また、パロチンは脳梗塞の予防や若返りにも効果があります。パロチンやアミラーゼは、消化酵素が豊富なので、消化器官にかける負担が少なくなります。また、善玉菌を活性化させるため、腸内環境を整える効果もあります。私たちに恵みを与えてくれる食べ物を体内で完全燃焼させることは、食材に対する最大の感謝だと思います。

EGFやFGFのような繊維芽細胞増殖因子というものも唾液の中に含まれており、潰瘍や内臓の傷を修復したり、下半身不随、高血圧、糖尿病などが、食べ物の質や量を変えずとも、ただひたすら噛んでいるだけで治ってしまったという例が世界にはあります。

噛むという行為や唾液には、人間が計り知れない可能性が秘められているのです。

咀嚼の効果

噛むことで脳に刺激を与え、判断力も上がっていきますが、卑弥呼の時代には1回の食で平均3,990回噛んでいたのが、現代は620回しか噛んでいないそうです。※2

良く噛んでいる人の顔は、顎が発達し、えらが張っています。例えば、徳川家康と15代将軍の徳川慶喜の顔の形を見ると、顎がしっかりしていた家康と違い、慶喜の顎は細くなっています。このことから、たった200年でどれだけ咬合力が落ちたかが分かります。

1999年に、5歳児に対し「硬いと感じるモノは何?」と聞いたところ、「ほうれん草」と答え、「柔らかい物は?」と聞いたら「プリン」と答えたそうです。この回答から、ほうれん草からプリンまでの硬さの食材しか食べていない可能性があることが考えられます。咬合力の強い子は、じっと直立していられるけれど、弱い子はすぐに座り込んでしまいます。

マクロビオティック視点でウィルスをみると

マクロビオティックの先駆者達は「21世紀に入ったら、様々なウィルスが流行るだろう」と言っていました。確かに鳥インフルエンザ、SARS、MARS、コロナウィルスなどが世間を騒がせてきました。しかし、菌やウィルスは、人間を病巣から守ってくれているもので、特に、日本人はこれらと共存してきた民族です。

ウィルスは菌とは違い、生き物ではないので抗生物質では死にません。ウィルスは、蛋白質で繁殖していきます。体内に余計な蛋白質がなければウィルスが体内に入っても発病することはないとマクロビオティック実践者たちの経験上、このように考えられています。

肉や魚、卵、乳製品等の動物性蛋白質は、植物性の蛋白質と違い、他の動物が体内で一度作りあげた蛋白質のため、大変消化しにくく、私たちの消化器官に負担をかけてしまいます。また、消化しきれなかったものは体内に蓄積されていき、腫瘍や癌になる可能性があると考えられています。こういった余計な蛋白質が、体内になければ、ウィルスが入っても発病することはないですし、発病することで余計な蛋白質を処理してくれているわけです。

共存していく存在だったウィルスが、脅威に変わってしまったということは、人間の生命力が落ちてしまったということでもあります。免疫力を上げ、生命力の高い心身を鍛えていく為にも、噛んで噛んで噛みぬいて、沢山の唾液を内臓に行きわたらせことが、この時代を乗り切るひとつの手段になるかもしれません。

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※1
中国の道教や神仙思想の中で、仙人の道術や、不老不死に至る道。(デジタル大辞泉)
仙人の道。仙人の術。(大辞林 第三版)

※2
特定非営利活動法人 日本咀嚼学会 元理事長 齋藤 滋 著書にて復元食より算出されている。
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/iryo_hoken/shikahoken/pamphlet/shokuiku.files/06P62-75.pdf
噛むことの重要性を表した標語「ひみこのはがいーぜ」も日本咀嚼学会により啓蒙に使われている。
http://sosyaku.umin.jp/
https://www.gakkounosyokuji.com/食育標語/ひみこのはがいーぜ/

永井 邑なか 氏
中学生の時に母親を通し、食養(マクロビオティック)に出逢い、高校の時に肉食をやめ、妊娠を機に完全穀物菜食の生活を始める。マクロビオティック創始者桜澤如一氏の高弟大森英櫻ご夫妻、久司道夫氏、松本光司氏等から直接長年学び独自の無双原理を深める。

2005年マクロビオティック教室ラ・コシナ・デ・ミナカを東京で開講。2008年山梨県に居を移し小淵沢でも開校。2014年ハワイ島、2015年カルフォルニアに住み、マクロビオティックを3年近く現地の人達に伝える。国内外で講座・合宿等を通し、2,000人近くの方々を指導。幅広い視野での分かりやすい講義が好評。
http://cocina-minaka.com/

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