メンテナンス
ボディ、マインド、スピリットを整えて未病を防ぐ
2019.10.3
クラニオセイクラルセラピー・バイオダイナミクスとは?
クラニオセイクラルセラピー・バイオダイナミクスは、1900年代初めにアメリカのオステオパシー医ウィリアム・ガーナー・サザーランド博士の探求により始まりました。
クラニオセイクラルセラピーって、何ですか?
クラニオが頭蓋骨、セイクラルが仙骨で、その間の背骨全体も含めて頭蓋仙骨系と呼びます。頭蓋骨には脳、背骨には神経が通っていて、それぞれ私たちの生存に欠かせない大切なシステムですね。そして、その大切なものを守るために周りを満たし循環しているのが脳脊髄液です。
クラニオセイクラルセラピーは、この脳脊髄液の流れを整えることで自律神経を含めた全身の状態を「いい感じ」に導いていきます。そして、バイオダイナミクスのアプローチでは、人間を解剖学的な機能の集合体としてではなく「存在全体」としてとらえます。
あなたがお母さんのお腹の中で、受精卵から赤ちゃんへと成長を促した神秘的な叡智を想像してみて下さい。私たちの生命と健康を司るライフフォースの推進力と、潜在的な治癒能力に重点をおき、健康を引き出すことが、このセラピーの焦点となります。
クラニオセイクラルセラピーって、どんな風に行われるのですか?
カウンセリングの後、着衣のまま施術ベッドに仰向けに横たわっていただきます。妊婦さんやお身体が不自由な方は、横向きになっていただいたり、その方の状態に合わせます。施術者は、まず自身を落ち着かせて、クライアントの準備が整うのを待ち、そして静かに身体に触れていきます。
施術を受けた後は、どんな変化がありますか?
このワークでは、「悪いところを治す」アプローチはせずに、あなたの中にある潜在的な治癒力と協力してワークを進めていきます。その結果、今のあなたに必要なことが起こると言われています。あなたの内にある治癒力がドクターで、施術者がアシスタント兼、その空間の保持者という立ち位置です。例えば、膝の痛みで来られた方に触れてみると、あなたの内なる医者が腎臓を元気づけるよう指示してくるかもしれません。このように、今、現れている症状の原因を探っていくと、時には数十年前の交通事故、または、出生時のストレスにまで遡ることもあります。
クラニオセイクラルセラピー・バイオダイナミクスを受けていただくと、あなたの心や体の中にあるもつれた糸が、少しずつ解けていくような解放感が得られます。
具体的にどのような効用があるのか、日本では薬事法の関係があり、あまり多くは言えませんので、ここではイギリスのクラニオセイクラルセラピー協会が挙げているものを記しておきます。(craniosacral therapy association of united kingdom)
関節炎、喘息、自閉症、背中の痛み、バーストラウマ、気管支炎、脳性麻痺、疝痛、躁鬱病、消化器系障害、失語症、疲労、しりもち、ケガ、五十肩、ホルモンバランスの乱れ、過剰活動過多症、免疫システム疾患、不眠症、無気力、月経痛、片頭痛、術後の回復、妊娠中または出産後の不調、交通事故による鞭打ち・ショックの解放、坐骨神経痛、副鼻腔炎、脊椎側弯症、スポーツ障害、耳鳴り、顎関節症、視覚障害、眼精疲労
この施術は、どんな人に向いていますか?
・事務職、ネイリスト、縫製職、ドライバーの方々
(長時間同じ姿勢でいると体液循環に影響が出ます。)
・医者に行っても異常なしといわれるが、何だか調子が悪いと感じられる方
(検査などで数値化されない不調の原因もあります)
・全てのスマホユーザーの方々
(ストレートネックは、自律神経の乱れの原因の1つです)
・仕事や家事、育児に追われ、自分のことが疎かになっている方
(中心軸が整いエネルギー循環の改善、仕事のパフォーマンスアップにもつながります)
他のセラピーとの違いは、何ですか?
一般的なボディワークでは、押したり、揉んだり、刺したり、擦ったり、といった強めの刺激が、術者から受け手へと加わりますが、クラニオセイクラルセラピーでは、触れるか触れないかの優しいタッチで、内側から自然に解放されるのを待ちます。力のベクトルでいうと、前者が外から内、後者が内側から外側へ広がり緩むイメージです。
クラニオは、非侵襲的なワークとも呼ばれています。また、特にバイオダイナミクスのアプローチでは、施術者の技術や判断を一切挟み込まない、というのも大きな特徴です。私たちの生命と健康を司るライフフォースの推進力と、潜在的な治癒能力の妨げにならないよう、施術者はサポート役に徹します。
日本でセラピストを探すには?
ネットで「クラニオ」と検索すると、筆者が帰国した2010年に比べ、ずいぶんたくさんヒットするようになりました。多くの方が関心を向けられ、クラニオを学ばれる方が増えてきているのは、喜ばしい限りです。その背景には、エドガーケイシー氏を紹介した映画「リーディング」や、ナチュラル志向の女性に支持された「murmur magazine(マーママガジン)」の編集長である服部みれいさんが、ご自身の著書の中でクラニオワークを紹介されたことなどが影響していると考えられます。また、受け手にとって負担のない、一番自然な形で心身が整ってくるこの施術法が、世に必要とされている結果とも言えると思います。
たくさんのクラニオワークの中から、混乱せずあなたに合ったものを選んでいただくために、簡単に整理をさせていただきます。現在、日本で行われているクラニオワークには、大きく分けてクラニオセイクラル・バイオメカニクスと、クラニオセイクラル・バイオダイナミクスの2種類があります。両者とも、クラニオセイクラルという一語のみで表記されていたり、「クラニオ」という略式で表現されることが多いので、混乱を招いているのも事実です。ですが、両者の内容が大きく異なりますので、簡単にご説明させていただきます。
クラニオセイクラル・バイオメカニクス
本来、大学で学ぶオステオパシーの手技の一部が、アプレジャー博士の貢献により、家庭の主婦(夫)が家族のケアをできるようにと簡略化し、体系化したものが世界中に普及して、クラニオセイクラルの名が世に知れ渡りました。簡単なステップで、しかも週末のワークショップなどで学べることから、一般の方をはじめ、鍼灸やカイロの先生がプラス@のスキルとして学びに来られている感じでした。脳脊髄液の原理を利用して、臓器や組織に優しくアプローチしますが、バイオダイナミクスと比べると、まだボディワークに寄った施術法という印象です。
クラニオセイクラル・バイオダイナミクス
一方のバイオダイナミクスは、バイオメカニクスよりもさらにソフトで、繊細なタッチの施術法で、身体の組織や構造よりももっと大きな存在全体へのアプローチになります。生命の神秘を感じ取る類まれなる繊細なタッチを、施術者は何年もかけて学びます。ただ、言語化や数値化に適しておらず、感覚的要素が非常に強いため、教えるのも学ぶのもなかなか難しく、時間と経験が必要になってきます。受け手としては、日常では完全に「オフ」にしきれない、無意識の緊張やこわばりが優しく解けて、「ああ、これがわたし。」というシンプルな感覚が蘇ります。
他にも、学ばれたことをベースに、別のものを加えたり改良されたり、オリジナルのワークを作り上げ、それを独自のクラニオワークとされているものも多く見られるようになりました。ネットなどで探される時は、プロフィールから、施術者がどこでどんなことを学ばれたかなどをご覧になられると良いと思います。
自分が受けてみた感想
イギリスでのトレーニング中、私自身何度も施術を受ける機会がありました。
ある日、施術が始まってすぐ、自分の身体が硬直して固まっているのが感じられました。
「飛行機の移動で、疲れてるなあ」とぼんやり思っていると、突然、身体がガクンとベッドに沈み込むような感覚があり、徐々に意識が遠のいていったのをぼんやりと覚えています。その後は、ずっと深いところで漂っていました。まるでお母さんのお腹の中で、誰にも邪魔されることなく、深い安心感に包まれながら、休息している感じでした。
その様子を傍で見ていた先生は、私の周りにシールドができて、優しい静寂に満ちた空間ができていたと言っていました。施術が終わってからは、深いところでグラウンディングできた感じがして、呼吸が深く、満ち満ちている感覚がありました。
このように、特に不調はない方でも、リフレッシュやメンテナンスの一環で受けられると良いと思います。自分自身に還れます。
2010年に帰国。愛知県一宮市でクラニオの普及活動とともに、自然栽培の野菜作りやメダカのビオトープ飼育、育児の中に自然を取り入れる活動などを行う。
2016年 そらとり自癒力活性サロン 設立
クラニオセイクラルセラピー・バイオメカニクス 初級・中級(CST1,CST2) Upledger Institute メキシコ 2006年
クラニオセイクラルセラピー・バイオダイナミクス Karuna Institute イギリス 2008年
乳幼児へのクラニオセイクラルセラピー Clair Doblir イギリス 2009年
https://cranio-kenko.com