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今、改めて注目される“座禅”の効果

2022.4.8

座禅とは…

近年、密かなブームとなっている座禅。座禅とは、姿勢を正して座り、精神を統一させる仏教の修行方法のこと。心を無にして座り続けることで、自分自身の内面と向き合います。座禅の歴史は、約2500年前、仏教の開祖であるお釈迦さまが修行として行ったのが始まり。お釈迦さまが悟りを開くため、菩提樹の木の下に、草を敷き、足を組んで座り、息を整えたのが、座禅の始まりと伝えられています。

座禅が広まったきっかけは、インドの僧侶であった達磨大使(だるまだいし)が、中国に渡り、禅宗を伝えたことにあります。禅宗が広まった中国で、臨済宗(りんざいしゅう)・曹洞宗(そうとうしゅう)・黄檗宗(おうばくしゅう)という3つ宗派が生まれ、後に、日本にも伝わってきました。日本に初めて臨済宗を伝えたのが栄西(えいさい)、曹洞宗を伝えたのが道元(どうげん)という僧侶です。

座禅の効果について

座禅は、「調身(ちょうしん)・調息(ちょうそく)・調心(ちょうしん)」の三つが、一体となることが大切。調身は、姿勢を正しく調える。調息は、呼吸を調えること。調心は、心を調えるという意味です。

「整える(ととのえる)」という字ではなく、「調える(ととのえる)」と表記されるのは、座禅において大切なのが、身体全体が「調和」した状態に保つことを目的としているため。昔から、座禅を行うことで、心が落ち着き、安らぎが得られる。また、集中力の向上やストレスの軽減などの効果があると考えられてきました。

近年では、医学的な観点からも座禅の効果が注目され、座禅中の呼吸には、脳内神経伝達物質のひとつである「セロトニン」の分泌を促す効果があると考えられています。「セロトニン」は、別名「幸せホルモン」とも呼ばれ、精神や感情のコントロールに大きく関わっています。座禅を行い、「セロトニン」の分泌が増えることで、ストレスが軽減されて、リラックスした精神状態に。自律神経のバランスも整うので、不眠の解消にもつながります。

座禅の基本的な作法

座禅の作法は、宗派によって座り方が違ったり、僧侶によって呼吸法が異なることがあります。今回は、座禅の基本的な作法の一例として、ご紹介させていただきます。

<座禅をする前の準備>
・部屋を整理整頓する
・坐蒲(ざふ)や座布団、クッションを用意する
・お線香やお香を用意する
・リラックスしやすい、ゆったりとした服装に着替える
・腕時計やアクセサリーは外す
・食前食後を避けて行う

【座禅の作法】
1・坐蒲(ざふ)を置く
※坐蒲(ざふ)がない場合は、クッションなど適度に高さがある物や、座布団を二つに折り、お尻の下に置く。

2・足を組んで座る
※下記の「結跏趺坐(けっかふざ)」か「半跏趺坐(はんかふざ)」で座る

「結跏趺坐(けっかふざ)」
① 両手で右足を持つ
② 右足を左の下腹にかかとが着くぐらいに引き寄せ、左足の腿の付け根にのせる
③ 両手で左足を持ち、右足の腿の付け根にのせる
④ 左右の足裏が正しく上を向くようにする

「半跏趺坐(はんかふざ)」
① 左足を右足の腿の付け根にのせる、もしくは右足を左足の腿の付け根にのせる
※宗派により違いがあります
②腿の付け根にのせた足裏が、正しく上を向くようにする

3・手を組む
※手の組み方は、何種類かあります

「法界定印(ほっかいじょういん)」
① 右手の掌の上に左手を重ねて、左右の手の親指の腹を合わせる
※左手の掌の上に右手を重ねても良い
②重ねた掌とあわせた親指とで円相(円形)を作る

4・姿勢を正す
顎を引き、頭が左右前後に傾かないようにする。耳と肩、鼻とおへそが垂直になる

5・口を閉じる
上顎に軽く舌をつけた状態で、口を閉じる。口内に空気がこもらないようにする

6・視線の位置
眼を半眼に開き、視線を1メートルほど先に落とす
※視線の先を強く見つめるのではなく、ゆったりと眺める

7・重心を定める
身体を前後左右に動かし、重点を安定させる
※時計の振り子のように、身体を左右に大きく振り、徐々に振り幅を小さくしていき、振り子が止まるように、中心で静止させる

8・腹式呼吸で呼吸を調える
鼻から息を吸い込み、ゆっくりと吐く腹式呼吸を繰り返すことで、呼吸を調える

9・心を調える
さまざまな思いにとらわれず、心を無にして、身体と息を整えて座る

座禅は、敷居が高いと考えがちですが、最近では、初心者でも気軽に参加できる座禅会や、オンライン座禅会なども行われています。毎日の生活の中に座禅を取り入れて、自分自身の内面と向き合う時間を作ってみては、如何でしょうか。

【参考URL】
https://www.sotozen-net.or.jp/propagation/zazentop/saho
http://www.rinnou.net/cont_02/suwaru.html
【参考書籍】
「親子でする座禅と呼吸法」(佼成出版社)著者:河野太通

廣田 美千代
女性サイトの編集長を経て、フリーランスに。 雑誌やWEB媒体を中心に、美容記事やインタビュー記事を随筆。WEBプロデューサーとしての経験を活かし、 コンテンツの企画・制作や、化粧品会社のWEBコンサルティングなどにも携わる。

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