会員数250万人のメンタルヘルスケア専門企業が運営する「未病ケアラボ」

メンタルケア

匂いでわかる!あなたの心と身体のメッセージ

嗅覚力を磨いて生存能力をあげる!

2020.2.14

匂いは身体の健康を伝える

「ガン探知犬」を知っていますか? 人の呼気や尿の匂いから、ガンを発見するよう訓練された犬達です。地域の健康診断に試験的に導入され、ガンのスクリーニングに病院でも活用されています。病と匂いの関係は、宗教儀式が医術であった古代から観察され、医学の祖ヒポクラテスは、予防や治療に芳香植物の利用を勧めました。現代の科学でも、ガンや統合失調症など、疾患による匂いの変化が論文として発表されています。

匂いは心を伝える

心の状態は身体の生理的な変化を引き起こし、放つ匂いに変化をもたらします。2002年、ウィーン大学で行われた実験は、恐怖映画を観て生じた不安感が脇の下の匂いを変化させ、人がその匂いを嗅ぎ分けることを示しました。2018年資生堂は、人はストレス状況下で特有の匂い、ネギのような硫黄化合物の匂いを発することを発表しています。

身体の匂いは不都合なもの?

ストレス臭は、感知できるほど強い匂いではないようですが、この研究発表をデオドラント製品につなげた広告も見られます。日本人は、無臭嗜好が強い国民性ですが、生物が生命を営み代謝する存在である以上、匂いを放つのは当然という見方もあります。匂いは、生命活動を営むものがそこにあることを示す、その生体の状態を伝える情報です。慣れて感じなくなる「順応する」性質を持つため、通常、自分の匂いに気づくことは困難です。家族や身近な人に指摘されて気づくことが多く、親しい間柄でも自分の匂いについて言及されるのは、気分が良いものではないのかもしれません。しかし、自身が放つ匂いを、心と身体の健康を知るツールとして捉えれば、体臭は人に指摘された不都合な真実ではなく、現在の自分の状態をダイレクトに伝える有効なメッセージになり得ます。

変えられることを変えてみよう

あなたの心と身体を伝える匂いのメッセージを受け取り、あなたができる、「あなたが変えられること」に取り組みましょう。セルフケアに努めたり、ストレスを軽減するために環境に働きかけたり、必要に応じた適切な治療を受ける選択もあるでしょう。感情や身体の生体反応を変えることは困難ですが、考え方や行動はあなたの意思で、現在から変えられるのです。「自分は状況に対して、変えられることは何もない」と思う方は、少し内省してみましょう。あなたが心地よいと感じる香りを鼻先に携えて、深く息を吐ききります。気持ちよい香りをお腹に届けながら、もう一度あなたが変えられる行動に想いを巡らせてみましょう。あなたが変えられることは、本当に何もないでしょうか。

松尾 祥子氏
公認心理師 臨床心理士 赤坂溜池クリニック心理士 SAFARI代表

1999年よりアロマセラピー、アーユルヴェーダなどの自然療法とアメリカ西海岸の統合的心理療法をベースに、「香り×心理×サスティナブルなコミュニティ」をキーワードに活動する。現在は、個人カウンセリング・グループセラピーや研修に加え、持続可能な社会の研究やEAPにも従事する。生活に欠かせないものは波乗りと山歩きと秋のキノコ。
地球と宇宙とココロのおはなし。http://www.aroma-safari.com

松尾 祥子さんの記事一覧

  • f
  • LINE